水の再利用とは？

水の再利用の考え方・現状

水のリサイクル利用には、さまざまなケースがあります。排水の再生利用の背景には、水の絶対量が不足していること、処理水の利用によって排水処理コスト低減することにあります。

再利用の分類

カスケード利用

カスケード利用とは、ある用途で使用した後の排水をそのまま他の工程・業務に使用することです。機械工場などのコンプレッサの冷却水を、酸洗い工程の洗浄水として利用するといった使い方があります。

循環利用

循環利用とは、使用後の排水をほとんど無処理で同じ用途に再利用すること。例えば、圧縮機・空調機などの間接冷却水を、冷却塔を使用して循環利用するケースが循環利用にあたります。

再生利用

局部的再生利用

局部的再生利用とは、一部工程で出る排水を原水として、適当な処理を施した後に同じ工程・同じ用途に再利用する方法です。半導体製造工程からの排水は不純物が少なく純度が高いため、再利用に適しています。そのため、多くは回収・再利用されます。

工場単位再生利用

工場内の各工程から発生する水を総合して再生処理し、処理水を使用可能な工程に再使用するのが工場単位再生利用です。この方法を使う場合、現地では水の供給が追い付いていないケースが考えられます。水不足が顕著な地域の工場での節水対策として用いられています。

地域的再生利用

地域的再生利用とは、めっき工場団地や内陸工業団地で見られる、各工場の排水を集中処理し、再び各工場に工業用水として供給するなどの手法です。

一度利用した水を再利用するには

水の用途は、飲料水以外にも、水洗トイレや清掃用水、消防用水、公園の噴水など、さまざまです。用途によって求められる水質が異なりますので、これまで廃棄されていた排水も、非常に汚れていて化学的処理が必要なレベルでなければ、用途に応じて再利用することで限りある淡水資源の有効活用につながります。

中東などの特に水が貴重な地域では、排水の再利用水を灌漑用水や修景用水に利用することで、土壌の緑化や景観の維持に役立て、貴重な飲み水の確保につなげている例もあるようです。

再利用における課題

水の再利用には、維持管理費がかかる、個別循環方式における再生水の不足、原水の水量・水質が不安定というさまざまな課題があげられます。処理方式や使用方法によって管理コストは異なりますが、より大量に水を使用する施設ほどその傾向は顕著です。

業者に依頼するにしてもかなりのコストがかかることを考えると、自社処理できる環境を整えることが重要だといえるでしょう。排水処理システムやバキュームカーの処分など、適した処理方法を考える必要があります。

水処理における悩み・課題

• 高濃度排水の処理
  廃水の固形物濃度が高くなってきて、これまで使用してきた処理施設だけでは処理が間に合わない。ゴミやし渣の量も多く、既設の水処理設備での処理が困難。曝気槽の固形物濃度が高くなると処理水を放流できなくなるのでなんとかしたい。
• 排水や汚泥の処理量が多い
  排水や汚泥が多く、処理する量が多くてバキューム処理にかかる費用がかなり高くなってしまっている。定期的にバキューム車汚泥を搬出しているが、1,000万円以上の金額に達しており、コストがかかりすぎているので、産廃処理費用をもっと減らしたい。
• 設備の不具合
  自社の水処理設備に不具合が生じてしまい、工場が稼働できなくなった。なるべく早めに復旧させたいと考えているが、規模が大きい工場のため処理設備を修理するとなると修理期間が長く費用もかかる。大規模改修のための代替機がないため、交換も満足にできないので、せめてこれまでと同じレベルの排水処理ができる方法がないか検討している。
• 一時的な処理量の増加
  季節的な需要で排水の量が増えてしまい、既存設備では処理が追い付かず困っている。とはいえ余剰分の排水や汚泥をバキュームカーなどで搬出してしまうとコストが非常に高くなってしまうため、赤字を出さないためにも委託はしたくない。既存の処理設備を一時的に増強したいが、レンタルやリースなどで対応可能かわからない。
• 重金属や有害物質を含む汚泥の処理
  重金属や有害物質を含む汚泥処理をしたいが、処理するための方法が検討できていない。有害物質や金属類を含む汚泥は産廃処理のコストが高くなるため、そのまま廃棄することは望ましくない。なるべく費用を抑えて処理できる方法を知りたい。
• 工事現場の汚泥処理
  土木工事現場で汚泥や泥水などが発生するものの、濃度が高く、一般的な水処理設備だと放流できるようになるまで時間がかかる。長すぎると作業に支障が出てしまうので、もっとスピーディーで効率の良い方法がないか知りたい。

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