これまで用いられていた一般的な活性汚泥法とは異なり、新しい方法として知られる「膜分離活性汚泥法」。沈殿槽を必要とせず、膜を用いることで固液分離を行う方法です。
膜の孔のサイズは小さく、孔径0.1~0.4μm。大腸菌やウィルスよりも小さく、水分子や窒素、リン(P)イオンなどだけが通過できます。
膜分離活性汚泥法では、MF(精密ろ過)膜を曝気槽もしくは曝気槽と連結する膜分離槽に設置し、汚水を直接ろ過します。そのため高品質な処理水が得られるほか、省スペースでの処理が可能です。
膜分離活性汚泥法では大腸菌などよりも小さなサイズの孔を用いてろ過するため、処理水に大腸菌や一般細菌などが残りません。また、汚泥などのSS(懸濁物質)も処理水に残りにくいため、高品質な処理水を得られます。高度な処理水質が必要な場合にも活用できます。
膜が破けるなどの場合を除き、膜分離活性汚泥法ではキャリーオーバー(処理水にSSが残ったまま溢れ出す)が起こる可能性が低くなっています。
膜による直接ろ過を行って活性汚泥と分離させる膜分離活性汚泥法では、バルキング(汚泥が沈降せず、上澄み液と分離できない現象)が起こりにくくなっています。そのため、汚泥が分離できないといった心配もありません。
膜分離活性汚泥法では、曝気槽内や曝気槽と連結した膜分離槽内で処理を行います。そのため標準活性汚泥法で欠かせなかった沈殿槽が不要に。また、消毒設備や汚泥濃縮設備、砂ろ過設備などの工程も省略が可能。コンパクトなスペースで汚泥の処理を行えるでしょう。
「処理設備のためのスペースが取れない」「既存設備のまま処理効率をアップさせたい」という場合におすすめです。
一般的な活性汚泥法・膜分離活性汚泥法ともに「汚泥の固液分離を行う」という点は同じです。しかしただ沈殿させるだけと細かな膜を通す方法では、処理水の品質に大きな差が出ます。
方法としての大きな違いは「沈殿槽の必要の有無」と「処理水消毒の必要の有無」でしょう。膜分離活性汚泥法では沈殿槽が不要であり、処理水を消毒する必要もありません。
下記に、標準活性汚泥法と膜分離活性汚泥法の仕組みを紹介します。
まず流量調整槽から曝気槽へ汚泥を移し、微細な気泡を水槽内に吹き込み微生物の生物化学的酸化反応を促します。次に沈殿槽で水中の汚濁物質を沈殿(沈降)させ、SSの少ない上澄み液(処理水)を得る方法です。上澄み液は消毒が必要ですが、SSや大腸菌が放流されてしまう可能性も。なお、SSの沈降性が悪いとキャリーオーバーやバルキングなどのリスクもあります。
まず流量調整槽から曝気槽へ汚泥を移した後、曝気槽内にMF膜を設置します。膜によってろ過された処理水は処理水槽に運ばれ、消毒なしで放流可能。
また、曝気槽内にMF膜を設置するのではなく、曝気槽と膜分離槽を連結させて膜分離槽内でろ過を行う方法のほか、MF膜を洗浄しやすいよう膜分離槽を増やすことも可能です。なお、MF膜の微細な孔を大腸菌などの大きな菌は通過できないため、処理水を必要以上に消毒する工程がいりません。
膜分離活性汚泥法の特徴や一般的な活性汚泥法との違いについて解説しました。一般的な活性汚泥法では汚泥の処理水への流入や分離不良などが課題となっていましたが、膜分離活性汚泥法ではその問題を解決しています。
膜分離活性汚泥法では微細な孔によって高品質な処理水を得られるほか、設置スペースをコンパクト化できるメリットがあります。得られるメリットが大きいことから、水処理プラント導入の際は膜分離活性汚泥法を用いているものがおすすめです。
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