食品工場の排水はBOD/CODや油脂分が高く特有の対策が必要です。本記事では、水質基準や法規制、油水分離・生物処理などの適切なプロセス、コストを削減した導入事例まで網羅的に解説します。
食品工場の排水は、原材料に由来する有機物を多く含む傾向にあります。そのため、水質汚濁の指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)が高くなりやすいのが特徴です。また、調理や機器の洗浄工程から排出される動植物性の油脂分が混入することも珍しくありません。高負荷な排水をそのまま放流すると環境への影響が懸念されるため、自社の水質に合わせた水処理設備の導入が求められます。
配管や機械の洗浄工程で使用される洗浄剤・殺菌剤にも注意が必要です。これらの成分が多量に排水に混ざると、微生物を利用した生物処理設備にダメージを与える可能性があります。さらに、商品の生産量が季節によって変動しやすい点も食品工場ならではの課題といえます。夏場や冬場など繁忙期には排水量が急増することがあるため、ピーク時の負荷を見据えた余力のある計画を立てることが重要となるでしょう。
事業活動に伴う排水には、国が定めた厳しい基準が設けられています。河川や海などの公共用水域へ排出する場合は「水質汚濁防止法」により、BODやCOD、SS(浮遊物質量)などの上限値の遵守が義務付けられています。一方で、下水道へ排出するケースでは「下水道法」に基づく排除基準が適用されます。自社の排水先に応じて、どの基準を満たす必要があるのか事前に確認を行ってください。
※参照元:e-Gov法令検索/水質汚濁防止法https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138/
※参照元:環境省https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html
国の法律に加えて、各自治体が条例でさらに厳しい「上乗せ規制」を設定している場合があります。地域によって基準値が異なるため、管轄の行政窓口への確認が欠かせません。また、水処理設備から発生する臭気は「悪臭防止法」の対象となるケースがあり、周辺環境への配慮が必要になります。処理後に生じる汚泥は産業廃棄物として「廃棄物処理法」に基づき、適正に処理しなければなりません。
食品工場の排水処理では、まず油脂分や大きな固形物を事前に取り除く物理的な前処理が基本となります。よく導入される設備として挙げられるのが、水と油の比重差を利用して分離するグリストラップです。さらに微細な油脂や浮遊物を除去する際には、細かい気泡を付着させて水面に浮上させる加圧浮上分離装置が用いられます。これらの工程で油分をしっかり除去しておくことで、後段に控える生物処理設備への負荷を大幅に軽減し、安定した水質浄化につなげることができます。
油水分離の後は、微生物の働きを利用して水中の有機物を分解する生物処理が行われるのが一般的です。酸素を好む微生物を活用する好気処理(活性汚泥法)は、幅広い水質に対応しやすい手法として知られています。一方で、BODやCODが非常に高い高濃度排水には、酸素を必要としない微生物を用いた嫌気性処理(UASBなど)が適しているケースもあります。嫌気性処理は省エネ効果が期待できる反面、臭気が発生しやすいため、状況に応じて適切な脱臭対策を併用することが推奨されます。

梅干し加工大手のうめはら(蓼科工場)では、生産量の増加により既設の嫌気性処理設備が能力の限界を迎え、あわせて処理過程で発生するバイオガスも有効活用できていない状態でした。
この課題に対しドリコは、省エネルギー補助金を活用しながら既設の1.5倍の処理能力を持つメタン発酵槽を3基増設。さらに、発酵時に生成されるバイオガスを蒸気に転換し、工場内の設備へ供給する仕組みを構築しました。
結果、排水処理能力の増強はもちろん、バイオガスの有効活用によるエネルギーコストの削減や環境負荷の低減も同時に実現しています。
※参照元:ドリコ公式HPhttps://drico.co.jp/case/180/

複数の食品工場を1拠点に集約する過程で、廃止予定の工場に残った排水・汚泥の処理が課題となったケースです。セイスイ工業は、既設の曝気槽・沈殿槽から汚泥を直接引き抜きながら仮設水処理プラントで処理する方法を提案。
遠心分離機による固液分離を行うことで、約900㎥あった汚泥を約43㎥まで、およそ1/21に減容化することに成功しました。産廃処理コストを抑えながら、生産ラインを止めずに解体工事へ進める環境を整えています。
※参照元:セイスイ工業公式HPhttps://seisui-kk.com/results/case60

養命酒製造(駒ヶ根工場)では、酒類・飲料など製造品目の増加に伴い、曝気槽に流入する廃液の濃度が変動し、手作業でのpH中和調整や微生物管理に多くの工数がかかっていました。
Daigasエナジーは、原水調整槽の容量を増設して廃液を均一化するとともに、膜分離活性汚泥法(MBR)による好気処理設備を導入。従来の沈殿槽方式に代えて膜処理を採用することで、水質変動の影響を受けにくい処理フローを構築しました。
結果、1日あたり最大3時間ほどかかっていたpH中和調整作業が不要となり、河川放流可能な清澄な処理水を安定して確保できる体制が整いました。
※参照元:Daigasエナジー公式HPhttps://ene.osakagas.co.jp/case/case048.html
食品工場の水処理では、BOD・CODや油脂分への対策に加え、法規制への適正な対応が欠かせません。コンプライアンスを守りつつ、自社の排水特性や用途に合わせた適切な対応を実現するためにも、確かなノウハウを持つ水処理パートナーを選ぶことが成功の鍵となります。
本メディアでは、水処理や汚泥処理の実績があるおすすめの水処理企業をご紹介しています。心強いパートナー選びの参考にしてください。
業界ごとに異なる排水処理ニーズに対応するには、専門性の高い水処理技術をもつ企業の選定が鍵となります。
それぞれの業界特有の課題を解決した事例を持つパートナーと連携し、法規制の遵守や運用コストの最適化を目指しましょう。
導入実績
など
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