半導体製造の洗浄工程等では高純度な水を用いるため、安定した用水供給と適切な排水処理の構築が不可欠です。
本記事では、超純水が果たす役割や特殊排水の特徴、処理方法から回収・再利用のプロセスまで解説します。
半導体の製造では、シリコンウェハーの洗浄や薬液の希釈などに高純度の水が欠かせません。ウェハー表面に不純物が残ると製品の歩留まりや信頼性を左右するため、使用する水の純度は製品品質に直結する要素といえます。そのため、単に大量の水を確保するだけでなく、工程ごとに求められる純度を満たす水質管理と安定した供給体制の両立が重要になります。
半導体工場では、エッチングや洗浄などの工程で使用する薬品によって、フッ酸由来のフッ素、アンモニア系の窒素、金属類、酸・アルカリなどを含む特殊な排水が発生します。取り扱う製品や工程、使用薬品の組み合わせは工場ごとに異なるため、排水の水質も一様ではありません。
適切な処理方法を選ぶには、自社の排水にどのような成分がどの程度含まれているのか、事前の水質分析によって正確に把握しておくことが重要です。
公共用水域へ排水する場合は、水質汚濁防止法に基づく排水基準の遵守が求められます。対象となる項目は工場の設備や排水の内容によって異なります。フッ素・ほう素・窒素などには一般排水基準が設定されていますが、適用される項目や基準は排水先や施設の条件などによって異なります。さらに、自治体が条例でより厳しい上乗せ基準を定めている場合もあるため、管轄自治体への確認が必要です。
※参照元:e-Gov法令検索/水質汚濁防止法https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138/
※参照元:環境省https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html
下水道へ排水するケースでは、水質汚濁防止法とは別に下水道法に基づく排除基準が関係します。実際の基準値や、届出・事前協議の要否は自治体・下水道管理者ごとに異なるため、計画段階での個別確認が重要です。基準を誤認したまま設備設計を進めると、後の手戻りにつながりかねません。
純水・超純水の製造では、まず原水中の濁質を除去するろ過・除濁処理を行った後、RO膜(逆浸透膜)やイオン交換、UF膜(限外ろ過膜)などを組み合わせて不純物やイオン、微粒子を段階的に取り除いていきます。求められる純度は、洗浄工程なのか薬液の希釈用途なのかといった用途や製造プロセスによって異なるため、必要な水質レベルに応じた処理方式の選定が求められます。
特殊排水の処理では、排水に含まれる成分の性状に応じた方式の選定が欠かせません。酸・アルカリを含む排水には中和処理、フッ素や金属類を含む排水には凝集沈殿処理、より高度な水質を求める場合には膜処理などの物理化学処理を組み合わせるのが一般的です。単一の処理方式だけでは対応しきれないケースも多く、複数の処理技術を組み合わせて水質基準をクリアする設計が求められます。
処理を終えた排水は、用途に応じて回収・再利用することで、用水の使用量や排水量の削減につながります。ただし、再利用の可否は回収した水の水質と、再利用先の工程で求められる水質基準を踏まえて検討する必要があります。すべての排水がそのまま再利用できるわけではないため、用途ごとの水質要件を照らし合わせた計画が欠かせません。
半導体工場の排水は、製造品目や稼働状況によって水質・水量が変動しやすいという特徴があります。平均的な流量だけを基準に設備を設計すると、繁忙期のピーク時に処理能力が追いつかないおそれがあるため、変動幅を見込んだ処理能力と水質変動への対応力を備えた設備設計が求められます。
設備選定では、排水処理そのものだけでなく、純水製造から工程での使用、排水処理、回収・再利用までを一連の水循環として捉える視点も重要です。工程全体を通して水の流れを把握することで、水使用量や運用コストの最適化につながる改善ポイントを見つけやすくなります。
半導体工場では、フッ酸由来のフッ素を含む排水への対応が課題となるケースがあります。エア・ウォーターグループは、フッ酸由来のフッ素排水に対し、カルシウムによる凝集沈殿処理を行った後、吸着剤による高度処理を組み合わせる方式を提案しました。処理濃度はF=15→2mg/Lまで低減し、処理水量25m³/hを実現しています。複数塔を用いた運用により、再生作業中も処理を継続できる体制を構築した点も特徴です。
※参照元:エア・ウォーターグループ公式HPhttps://site.awi.co.jp/product/read/case/case3.html
汚泥移送用のポンプに瞬間的に薄いフッ酸が混入する環境で、FCD材質のインペラーが約3カ月で著しく腐食し、処理能力が大幅に低下するトラブルが発生していました。みつわポンプ製作所は、この既設ポンプを接液部がゴムライニングのラバーセルポンプへ置換することを提案。耐食性・耐久性が向上し、約2年間ノーメンテナンスでの稼働を実現しています。
※参照元:みつわポンプ製作所公式HPhttps://mitsuwapump.jp/cases/
半導体工場の水処理では、製造工程に欠かせない純水・超純水の安定供給と、フッ素や金属類などを含む特殊排水への的確な対応が重要です。さらに、排水の回収・再利用まで含めて水循環を最適化することで、水使用量や運用コストの削減につながる可能性があります。自社の製造工程や排水特性に合った水処理パートナーを選ぶことが、その第一歩となるでしょう。
本メディアでは、水処理や汚泥処理の実績があるおすすめの水処理企業をご紹介しています。ぜひパートナー選びの参考にしてください。
業界ごとに異なる排水処理ニーズに対応するには、専門性の高い水処理技術をもつ企業の選定が鍵となります。
それぞれの業界特有の課題を解決した事例を持つパートナーと連携し、法規制の遵守や運用コストの最適化を目指しましょう。
導入実績
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