温浴施設では、浴槽水を衛生的に保つ循環ろ過・消毒だけでなく、温泉や井戸水の処理、使用後の排水処理も必要です。
本記事では、それぞれの基準や処理方法を解説します。
循環式浴槽を採用する温浴施設では、レジオネラ属菌対策を含む衛生管理が特に重要になります。
浴槽水には、濁度、TOC(全有機炭素)、大腸菌、レジオネラ属菌などについて水質基準が設けられており、基準を満たすためには適切なろ過・消毒・水質管理を継続的に行う必要があります。管理を怠ると、入浴者の健康リスクだけでなく、設備の衛生面にも影響が及びかねません。
温泉や井戸水を原水として利用する場合、原水の水質や温泉成分によって必要な処理内容が異なります。地域や源泉によっては、鉄分・マンガンの含有量が高く、着色や配管の詰まりを招くこともあります。こうした成分の除去にはろ過や薬注などの処理が用いられますが、どの処理を組み合わせるべきかは、事前の水質分析結果を踏まえて選定することが基本となります。
公衆浴場や旅館業では、浴槽水の衛生管理について厚生労働省の衛生等管理要領などに基づく水質管理が求められます。濁度、TOC、大腸菌、レジオネラ属菌などについて水質基準が定められており、循環式浴槽を中心に管理体制の整備が必要です。ただし、確認すべき事項は施設の営業形態(公衆浴場、旅館・ホテルなど)や、各自治体の条例によっても異なる場合があるため、個別の確認が欠かせません。
浴槽水の衛生基準とは別に、使用後の排水については、施設の種類や排水先、設備の条件などに応じて水質汚濁防止法、下水道法、自治体の条例などへの対応が必要になります。特に温泉を利用する旅館業では、温泉由来のほう素・ふっ素などが排水処理上の課題となる場合があり、暫定排水基準が設定されている場合もあるため、施設の条件と排水先を踏まえた個別の確認が重要です。
※参照元:e-Gov法令検索/水質汚濁防止法https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138/
浴槽水を衛生的に保つ基本設備として、髪の毛や体毛を捕集するヘアキャッチャー、ろ過装置、循環設備、消毒設備などが挙げられます。循環ろ過設備は導入して終わりではなく、ろ過装置の適切な維持管理と、消毒剤の管理を継続することで初めて水質基準を維持できます。管理を怠るとろ過精度の低下や消毒効果の不足につながるため、日常的な点検体制の構築が欠かせません。
温泉や地下水を原水として使用する場合は、水質分析の結果に応じてろ過、除鉄、除マンガンなどの前処理を行うのが一般的です。原水にどのような成分がどの程度含まれているかによって、必要な処理方式は異なります。施設の用途(飲用、浴用、専用水道など)や求められる水質レベルに応じて、適切な処理方式を選定することが重要です。
温泉・浴場排水を処理する際は、まず水質、排水量、排水先の基準を確認したうえで、必要な処理方式を選定する必要があります。成分や排水先の条件によっては、中和、ろ過、沈殿などの処理が必要になる場合がありますが、すべての施設で同じ処理が求められるわけではありません。自施設の排水特性に応じた個別の検討が欠かせません。
温浴施設で使用する水源は、上水・井戸水・温泉水など施設によって異なり、水源ごとに必要な前処理や水質管理の内容も変わります。特に温泉や井戸水を利用する場合は、水質分析を行ったうえで、含有成分に応じた設備を判断することが重要です。水源の特性を踏まえずに設備を選定すると、後になって処理能力の不足が判明するおそれもあります。
温浴施設の水処理では、ろ過装置、ポンプ、薬注設備、排水処理設備などについて、継続的な維持管理が欠かせません。設備を導入して終わりではなく、日々の保守・点検や運転管理まで含めて相談できるかどうかも、パートナー選びの重要な視点です。長期的に安定した水質を維持するには、導入後のサポート体制も含めて検討することが求められます。

千葉県の温浴施設では、入浴者数の増加に伴い、従来の砂ろ過装置ではろ過精度の低下や逆洗作業の負担、水質安定性の確保が課題となっていました。この課題に対し、モノべエンジニアリングはプリコート方式の「モノMAXフィルター」を提案。自動洗浄機能により保守負担を軽減しながら、24時間連続運転にも対応する仕組みを構築しました。
導入の結果、浴槽容量の約3倍/時間という高い処理能力での循環ろ過が実現し、ろ過精度の向上による水質安定にもつながっています。本設備は2004年の導入以降、20年以上にわたり継続稼働しており、温浴施設の高負荷環境下でも安定した水質管理を実証している事例です。
※参照元:モノべエンジニアリング公式HPhttps://www.monobe.co.jp/use/
ある温浴施設では、シャワー水に水道水を使用していましたが、水道料金のコスト削減のため、施設内にある有機物を含んだ色つきの地下水を浄化して活用できないかという課題を抱えていました。流機エンジニアリングは、凝集沈殿槽・ECOクリーン・オゾンマイクロバブルを組み合わせたシステムを提案し、浄化・脱色・脱臭・殺菌を実現しました。
この結果、地下水をシャワー水として利用できるようになり、水道代がこれまでの半額に。1日あたり15万リットル、年間約5,000万円ものコストメリットを生んだ事例です。
※参照元:流機エンジニアリング公式HPhttps://www.ryuki.com/case/case-746/
温泉付きマンション施設を運営する株式会社トムズでは、特殊な泉質へのレジオネラ属菌対策が課題となっていました。厚生労働省のレジオネラ症防止対策マニュアル改正(2019年末)では、鉄・マンガン・アンモニアを多く含む泉質や高アルカリ泉、通常の塩素処理では臭気が気になる施設の消毒に、モノクロラミン消毒が適しているとされています。アクアスは、この施設に対しモノクロラミン処理システムを導入し、水質分析に基づく濃度管理体制を構築しました。
あわせて温泉水用の防スケール剤を提案した結果、配管洗浄の頻度が4カ月に1回から年に1回へ、ろ材交換も1年に1回から2年に1回へ減少し、維持管理コストの軽減につながっています。
※参照元:アクアス公式HPhttps://www.aquas.co.jp/case/introduction03/
温浴施設の水処理では、浴槽水の衛生管理、温泉・井水の前処理、使用後の排水処理を、それぞれ適切に行う必要があります。水源や水質、施設規模、排水先まで踏まえたうえで設備を設計し、導入後の維持管理まで対応できる水処理企業を選ぶことが、安定した施設運営の鍵となります。
本メディアでは、水処理や汚泥処理の実績があるおすすめの水処理企業をご紹介しています。ぜひパートナー選びの参考にしてください。
業界ごとに異なる排水処理ニーズに対応するには、専門性の高い水処理技術をもつ企業の選定が鍵となります。
それぞれの業界特有の課題を解決した事例を持つパートナーと連携し、法規制の遵守や運用コストの最適化を目指しましょう。
導入実績
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